タイピングの資格ってどんなのあるの?

2004年7月5日 記(最終更新:2011年7月7日 パソコン入力スピード検定試験追加

「タイピングの資格」ってあまり一般的ではありません。せっかくタイピングが速くなったんで、それを世間に認めて欲しい!資格を取れば自慢ができる!ということで色々と調べてみました。

『タイピングの資格』とひとことに言っても、いろいろあるようです。

資格の種類
国家資格、公的資格、民間資格の3種類ですね。リンク先にはありませんが、修了資格ってのもあります。(学校に所属し、卒業すると取得できるもの)
タイピングには国家資格がないので、残りの3つだけです。
修了資格は、私の知る限り「ステノキャプショナー」(キーボードでの速記)ぐらいしかありません。ステノキャプショナーは学校に通わないと修得できない、キーボード自体が特殊、という理由によりあまり一般的ではないので、ここでは割愛します。(私自身、詳しいことがわからないので)

そんなわけで、「公的資格」と「民間資格」を中心に、具体的にタイピング関係の資格を挙げてみます。


公的資格

日本語ワープロ検定
今回紹介する資格のなかでもっとも有名なのが、このワープロ検定でしょう。ただ、ワープロ検定は入力速度だけではなく、手書きされている文書をワープロソフトで作成する問題もあります(級によっては表作成あり)。
そのため、高い級を取得するには、タイピングが速いだけではダメで、ワープロソフトを使いこなす必要があります。
知名度は高いため資格としてのアピール度は高いですが、純粋な速打ちの資格ではないので、タイピングの資格としてのインパクトは弱め。
最高段級位である初段を取るには、10分間で800文字(1ミスで5文字減)なので、ビジネスキーボードでSが取れるなら余裕かと。(タイピング部分だけなら)
受験料は、4級1,500円、3級2,000円、準2級2,300円、2級2,500円、準1級2,800円、 1級3,000円、初段5,000円、となっています。


キータッチ2000
ランダムの英字、英単語、ローマ字、記号、などが混じった2000タッチ分の問題を10分間で打ち切る検定です。
10分間に2000タッチ(ミスを除く)できればゴールドホルダー。それ未満だと特に称号はありませんが、記録にかかわらず「技能認定証明書」がもらえます。変換がないからゲーム的ですし、ミスのペナルティがなく、速く打てればOKということでタイパーにピッタリ。
※ただし、ローマ字の種目があるため、ローマ字が打てないとまず合格できません。
受験料は、1,500円となっています。

詳しくは、タイピング道場のコンテンツの目指せ!ゴールドホルダー!キータッチ2000への道キータッチ2000への道〜その後〜をご覧ください。


ビジネスキーボード
キータッチ2000の上位版
日本語、英語、数字、の独立した3種目があり(キータッチ2000のように混在しているわけではない)、それぞれ成績によって5段階(S〜Dまで)で評価されます。
例: 日本語A、英語C、数字D というように個別で出る
日本語に関しては、ローマ字入力するのではなくIMEにより、漢字やカタカナなどの変換もします。事前に問題文がわからないので、大会では初見の問題を打つことになります。(※本番は、練習ソフトと問題が違います)
日本語はIMEを使用するため、ローマ字入力だけではなく、かな入力でも参加できます。

前の行に戻って修正はできますが、最終的に1ヶ所でもミスするとその行の得点が0になるので、正確性重視で実践的。しかも、Sを取るためには完全にノーミスで打たないといけません(1ヶ所でもミスしたら、それ以外がノーミスでもA)そのため、オールSの称号『ビジネスキーボードマスター』はかなりの難度になります。
(一回でオールSを出す必要はなく、複数回受験して、一度ずつSをとった場合でもビジネスキーボードマスターはもらえます)
1ヶ所ミスすると、日本語だと約4〜25ポイントの減点、英語だと約60ポイント前後の減点です。
また、受験料は一律で2,500円となっています。(どれかひとつだけ受験するということは不可能)

◆評価の基準と詳しいシステムについて
認定基準の詳しい内容はこちら
日本語は、10分間で900字(変換あり、漢字・カタカナ・数字混じり)
英語は、10分間で3000字
数値は、5分間で1200字(漢数字を数値に変換あり、記号あり)
難易度的には、日本語<<<英語<<数値。
特に数値は、5分間で1200字なのに漢数字や記号が混じっているので、見たままそのまま打つ英語や、時間的にかなり余裕のある日本語よりずっと難しい。この資格の対策の練習をしないで受験したら、CかDぐらいしか出ないでしょう。(例えば、タイプウェルオリジナルの数字でMachineを取るぐらいじゃないと厳しい)


パソコンスピード認定試験
問題文をプリントアウトさせて、それを打ち込む試験。かなり実務に近いです。1回ミスすると10字減のペナルティがあるのでこれも正確性重視。
日本語だと1回ミスすると1字減、英文だと2字減と、ペナルティが緩和されたみたいです。いつから変わったか不明。正確性よりもスピード重視の資格になったということでしょうね。
日本語、英文、の2種目があり、それぞれ成績によって6段階(5級〜初段)で評価されます。もちろん、かな入力でも参加できます。ビジネスキーボードのようにセットになっているわけではないので、受験料は別。片方だけ受けてもいいですし、両方受けることも可能です。(会場によって違うと思います)
印刷してそれを見ながら打ち込みという意味では毎日パソコン入力コンクールと似ていますが、ミスには厳しくないので毎パソとはちょっと違う資格になりました。

試験の開催頻度は2,3ヶ月に1度程度(年4回ほど)。申し込みの締め切りは1ヶ月前、基本的に団体受験ですが、各会場ごとに個人受験もできるそうです。

受験料は日本語、英文それぞれで1,200円となっています。片方だけしか受けないのなら1,200円、両方受ける場合は2,400円ということです。


毎日パソコン入力コンクール
毎年開催されている、タイピングのオリンピック的な存在です。全国大会で上位入賞すると賞品がもらえたり、新聞に載ったりします。(ただし、高校生以下限定)
平成16年の第4回大会から、文部科学省「学びんピック」認定大会になったため、順位を競うだけでなく段級位認定もできるので、資格として履歴書に書くことが可能です。
ただデメリットもあって、各部門上位100名の本名が公式サイトに公表されてしまい(学生ならそれプラス学校名まで)、全国大会に参加し、優勝すると顔写真付きで新聞に載ります。
メリットとしては、毎年2月に開催されているWeb大会ならば、わざわざ会場まで行かなくても受験可能です(ただし、いくら速くても最高でも1級までしか認定されない)
通常の大会は6月と10月に開催しています。(こちらは全国大会がありますが、Web大会にはなし)
個人参加で資格を取りたいだけなら、2月、6月、10月の計3回、インターネット経由で自宅のパソコンからオンライン受験が可能です。
平成20年の第8回大会から、段級位の認定基準が大幅に変更になり、基準がかなり甘くなりました。さらに、一般の部の全国大会が廃止になってしまいました。つまり、全国大会に出場できるのは高校生以下の学生だけということ。
段級位の基準が甘くなったおかげで、以前よりも簡単に高い級を取ることが可能です。そのため、資格としての検定という意味での魅力は増したと思います。

事前に問題文が公表され練習ができるのが他の資格と大きく違う点。(上位入賞者はかなりの部分を暗記しています)
和文は、かな入力でも参加できます。
ミスにとても厳しく、基本的に9回ミスすると段級位認定されない(ミスオーバーすると最低の10級と判定されてしまう、種目によって多少違いあり)、全国大会の出場資格を失うなど厳しいペナルティがあります。逆にミスが少ないと、ボーナスがあるのでミスをしない方が断然得なシステムになっています。
事前練習ができるため、やり込んだ人が強くなります。その意味では、初見で打たなければいけない他の資格とは一線を画しています。(ただし、全国大会は紙に書かれた初見の文章を打つことになります)

参加費(受験料)は、個人参加だと2,000円(認定証発行料含む)です。第1,2,7部なら2,000円、それ以外の部だと2,500円になります。(基本的に2500円だと考えておくと良いかと。2011年の11回大会から、参加費が変更になりました)
複数の課題で受験はできますが、課題を複数受けたりすると値段が変わってきます。団体だとさらに安く受けられたりします。(例:一般団体で、3人以上でトータル5課題受験すれば、1人800〜1200円で受けられます)
説明が長くなるので、詳しくは実施要項(参加者用)| 大会概要の「参加費」の項目を読んでください。


ビジネスクラス 日本語タイピング検定
パソコンに表示される文字をキーボードで打つ、オーソドックスなタイプの検定。タイトルのとおり、日本語(ビジネス文書)のみとなってます。パソコンスピード認定やビジネスキーボードに近いですね。

ネット受験ができなくて、開催されている会場と試験の実施回数が少なすぎることがネック。2011年6月時点では、2011年度は6月と10月と2月の3回。(申し込みは約2ヶ月前に完了している必要あり)
今後は、もっと気軽に受けられるようになるといいですね。

◆評価の基準と受験料について
最高難度の1級は、かな漢字変換ありの900文字を正確性98%で打てばいいだけとかなり楽。ビジネスキーボードの日本語でSが取れるぐらいなら余裕でしょう。
受験料は、3級2,100円、準2級3,150円、2級3,150円、準1級5,250円、1級5,250円、 となっています。


ビジネスクラス パソコン速記検定試験
耳から聞いた言葉を文字としてタイピングする検定。そのため、目で見て打つ他の検定と一線を画した資格となっています。(上の日本語タイピング検定と同じ「財団法人 全日本情報学習振興協会」の検定です)
最高難度でも5%もミスが許されるなど、ミスのペナルティは少なめですが、ちゃんと練習しないと難しいかもしれません。
簡易のWEBの体験版と、練習ソフト(3000円)が公式サイトで売ってますので、試しに買ってみると良いかと。

◆評価の基準と詳しいシステムについて
課題1と課題2の二部構成。
課題1は、かなだけ変換無しで、声を聞きながら10分間で同じ言葉打つ。
課題2は、かなと漢字変換ありで、声を聞きながら12分で打って、8分間で校正。

最高難度の速記者認定は、課題1は3000文字以上で正確性95%以上、課題2は1200文字以上で正確性95%以上。
検定試験の日程は、(2008年度の場合)2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回。(申し込みは約2ヶ月前に完了している必要あり)

受験料は、3級4,200円、準2級6,300円、2級6,300円、準1級8,400円、1級8,400円、
速記者認定21,000円 となっています。『速記者』という名前が付くだけに受験料も破格ですね。


パソコン入力スピード検定試験
紙にプリントアウトされた文字を見てキーボードで文字を入力するタイピングの検定。 ※パソコンスピード認定試験と名前も受験方法も似てますが別物です。
日本語部門と英語部門の2種類あり。平成19年に始まった比較的新しい検定です。

受験料は一部門700円、日本語と英語の両方を受けると1400円
試験は毎年一回2月のみ。受験したい場合、11月半ばから12月頭までに申し込みする必要があります。(締め切りや開催日は毎年違います、開催日は基本的に毎回土曜日)
公益財団法人全国商業高等学校協会という組織が主催してますが、高校生以外でも受けられます。

◆評価の基準と詳しいシステムについて
プリントアウトした初見文章を
日本語は、10分間、変換あり、漢字・カタカナ・数字混じりの文を打つ(問題文は毎年違う)
英語は、10分間で英文を打つ(問題文は毎年違う)
文字数は入力した純字数(総字数からエラー数を引いた字数)として換算
段級位は4級〜5段の9段階、最上位の5段は、10分間で日本語2000文字、英字4000文字。過去問題を見る限り、問題文の文字数は、日本語なら約2500文字、英字なら約5300文字あり、全部打ちきる力があるなら20%ほどミスしても5段が取れる計算です。
毎パソ(5分)で換算するなら両方2段〜3段ぐらいかな。ボーナス点考えるの忘れてました…ミス10以上で2段以上打てるってとこでしょうか。(時間が倍なので一概には言えませんが)初見文章を変換するという日本語が難しいでしょうね。当然、打つ時間が長いほどペースが落ちるので、それ以上の打鍵力が必要。

打った文字数によって段級位が決まるという点で毎パソと似ていますが、いくらミスをしてもとりあえず段位がもらえるという点が大きく違います。あと、受験料が安いというのもポイント。ただ、年に1回しか開催してないのがネックです。


民間資格(おそらく)

イータイピング・マスター{タイピング検定}e-typing
e-typingで実施しているお手軽な資格。8級なら無料で受験できます。(取る意味もないですが)
8級の受験者数100万人突破だそうで、最も受験者の多いタイピング検定でしょう。(無料でネットでできますからね)ただ、上の級ほど受験料が高くなるので注意。最高位である特級だと10,500円もします。(もちろん落ちても取られる)
※2006年7月4日に特級の値段が改訂されまして、10500→5250円と半額になりました。他の資格よりも高いのは変わりませんが、だいぶお手軽になりましたね。
微妙ですが、おそらく民間資格かと思います。

受験料は、8級無料、7級2,625円、6級2,625円、5級3,675円、4級3,675円、3級5,250円、2級5,250円、1級5,250円、特級5,250円、となっています。


タイピングエキスパートYahoo! JAPAN
イータイピング・マスターの後にできた(2005年3月にスタート)、イータイピング・マスターと似たようなシステムの検定。Yahoo! JAPANが運営してます。
最低位の6級が無料なところとか、級が上がると受験料が上がるのも似てます。
あと、かな入力にも対応しています。ローマ字入力のみにしか対応してません。
イー・タイピングマスターが民間資格だと仮定するとこれも民間資格かな。

受験料は、6級無料、5級500円、4級1,000円、3級2,000円、2級3,000円、1級4,000円、となっています。


で、結局どれがいいの?

実際に受験することを考えると、タイピングの資格はマイナーなので、受験できる会場が少ないのがネック。
その点、「イータイピング・マスター」「タイピングエキスパート」の二つは、自宅のパソコンからインターネットを利用して、お手軽に自分の好きな時間にいつでも受験できるのが良いですね。期間は限定されますが「毎日パソコン入力コンクール」も自宅のパソコンから受験できるので忙しい方にオススメです。
受験料が高く受験会場が少ないためハードルが高いですが、速記者という肩書きが得られる「ビジネスクラス パソコン速記検定試験」も魅力。

次に難易度の面から比較すると
初心者向けが「キータッチ2000」
中、上級者向けが「ビジネスキーボード」「パソコンスピード認定試験」「パソコン入力スピード検定試験」「パソコン毎日コンクール」でしょうかね。「毎日パソコン入力コンクール」は上位(100位以内)に入ると名前が公開されてしまうのでその点だけは注意です。(目立ちたがり屋なら望む所、でしょうけど)
また、2008年から毎パソの段級位認定基準が下がったため、少し練習すれば準1級ぐらいまでは比較的楽に取れるようになりました。上級者向けから初心者〜上級者向けにシフトした感じです。

キータッチ2000は敷居が低めなのがいい。ただ、簡単な資格なため、ゴールドホルダーを取ってなんぼという気もします。受験するならゴールドホルダーが取れるぐらい練習してから、でしょうか。(いくら簡単な資格といっても、そこそこのスピードでタッチタイピングができることが最低条件です)
ビジネスキーボードは、日本語でSを取ることはさほど難しくないですが、それ以外の英字と数値がかなり高難度。速く打てても完全に見直す時間がないので正確性が求められますし。
パソコンスピード認定試験とパソコン入力スピード検定試験と毎日パソコンコンクールは、級や段が出ますから、資格として書きやすくアピールしやすいですね。(AとかSとかだとわかりにくいし)

パソコンスピード認定とパソコン入力スピード検定試験を除く、すべての資格に共通して言えることですが
 『ミスに、かなり厳しい』
スピード重視でミスばかりしてる方だとかなりきついと思いますので、高めの級(ランク)を受験するつもりなら、正確性重視の練習をした方がイイかもしれません。

自分の腕を把握した上で、好きな資格の試験日の予約を入れるのがよろしいかと。

※最後に
散々いろいろ書いてきて何ですが…
弁護士や医師などと違って、タイピングは資格を持っていないとできない業務ではありません。履歴書に書いても就職や転職に有利になることは少ないでしょう。「面接時の話の種」「自己満足」ぐらいにしかならないと考えた方が無難。(データ入力などならその限りではないでしょうが…)
…ですが、役に立つかどうかとかそんな細かいことは考えずに、自分のタイピングの技術が称号なり賞状なりでランク付けされるのは楽しい。受験する動機はそんなんでいいと思います。それがタイパーだと思いますし。


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